世界No.1の総長と一輪の花
****
今日の朝も教室まで詩優に送ってもらった。学校に来ればみんなの注目の的になる。この1週間そんな毎日だ。
いつもはそれだけだったのに…
今日は机の中に一通の手紙が入っていた。
しかもその手紙はハートのシールまで貼ってある。
朝のホームルーム中に、こっそり中を開けてみると便箋が1枚入っていた。
"妃芽乃さんへ
昼休みに体育館裏に来てください"
便箋にはこんなことが書かれていた。名前も書いていないから誰が書いたのかもわからない。
それに………いたずらの可能性だってあるよなぁ……
「妃芽乃さん。それ、ラブレター?」
突然八王子くんの声が聞こえてきて心臓がドキリとした。前を見ればくるっと後ろを向いて、ただにこにこしている八王子くんがいた。
「……違うもん」
「見ず知らずのやつのとこに行くより僕と付き合わない?夜瀬みたいに泣かせないから」
何で急にそういう話になるの…?私にはこの危険な男の言うことが理解できない。
私の命を狙ってるのに付き合わない?とか聞くなんて……私を油断させるためだろうか…
「……油断させようったってそうはいかないんだから。絶対殺されないもんね」
私がそう言うと目をぱちくりさせる目の前の八王子くん。
「殺されるって?何でそんな物騒なこと言うの?」
……え?
「………そ、それは八王子くんが私の命狙うなんて言うから……」
するとふっ、と声を押し殺して笑い出す八王子くん。
……なんで笑われてるの…
八王子くんが言ったことなのに……