世界No.1の総長と一輪の花




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今日の朝も教室まで詩優に送ってもらった。学校に来ればみんなの注目の的になる。この1週間そんな毎日だ。



いつもはそれだけだったのに…



今日は机の中に一通の手紙が入っていた。



しかもその手紙はハートのシールまで貼ってある。



朝のホームルーム中に、こっそり中を開けてみると便箋が1枚入っていた。






"妃芽乃さんへ


昼休みに体育館裏に来てください"




便箋にはこんなことが書かれていた。名前も書いていないから誰が書いたのかもわからない。




それに………いたずらの可能性だってあるよなぁ……





「妃芽乃さん。それ、ラブレター?」



突然八王子くんの声が聞こえてきて心臓がドキリとした。前を見ればくるっと後ろを向いて、ただにこにこしている八王子くんがいた。



「……違うもん」



「見ず知らずのやつのとこに行くより僕と付き合わない?夜瀬みたいに泣かせないから」




何で急にそういう話になるの…?私にはこの危険な男の言うことが理解できない。




私の命を狙ってるのに付き合わない?とか聞くなんて……私を油断させるためだろうか…




「……油断させようったってそうはいかないんだから。絶対殺されないもんね」



私がそう言うと目をぱちくりさせる目の前の八王子くん。



「殺されるって?何でそんな物騒なこと言うの?」



……え?



「………そ、それは八王子くんが私の命狙うなんて言うから……」



するとふっ、と声を押し殺して笑い出す八王子くん。




……なんで笑われてるの…



八王子くんが言ったことなのに……




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