世界No.1の総長と一輪の花









放課後の倉庫にて。ふと緑髪の貴詞さんが口を開いた。



「哲さん、海斗(かいと)さんって覚えてます?」



「…あぁ。あの人を忘れることなんてできねぇだろうな」



少し眉間に皺を寄せてそう答える銀髪の哲哉さん。海斗さんとは一体誰だろうか……




「海斗さんが"鳳凰"の総長っていう噂があるんすよ」



「……」



黙り込む哲哉さん。



ほうおう…?どこかで聞いた気が……



「……詩優さんは何て」



「詩優さんが知ってるのかわかんないっすけど、今すっごい噂になってるんすよ」



2人の会話がよくわからない。けど、踏み込んでいいことなのかもわからないからそっと大人しくしておくことにした。









「花莉ちゃん、ちょっといい?」



突然聞こえてきたその声に思わずビクッと体が反応した。この声はあまり聞きたくない声で、すぐに誰の声が分かってしまう…



ゆっくり後ろを振り向くと、そこには雅さんが立っていた。



にこにこ笑顔でいる雅さんだけど、少し…本当に少しだけ怖い気がした。



こくり、と頷いてから私が立ち上がると雅さんが前を歩き出した。私もその後ついて行く。



倉庫を出たところで立ち止まり、雅さんがくるりと私に向き合った。






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