世界No.1の総長と一輪の花
息が苦しくなった頃に唇が離れた。
「…泣かせてごめん」
そう言いながら詩優は私の涙を指で拭う。
「………許さない……詩優なんて嫌い…」
私の言葉に詩優は困ったようで、強く抱きしめてくれる。
「…俺、お前のことになると余裕なくなる……頼むから嫌いにならないで…」
…余裕でキスしてくるくせに……私は騙されないんだから。
「……ごめんな。今度アイス買ってやるから許して」
…アイス…
「……アイスでつられるほど馬鹿じゃないもん」
本当は少しだけ心が動いた…っていうのは秘密。
「何でも言うことひとつ聞いてあげるから許して」
……何でも?それだったら…
「………いいよ」
「ありがとな……でも…俺のことまだ嫌い?」
しょんぼりした声で聞いてくるかは少し胸が痛くなる。
「…き、らい…じゃない」
「知ってる」
私から離れたかと思うと口角を上げて笑う詩優。『知ってる』の?だったら聞かないでよと言いたかったけど言わないでおいた。