世界No.1の総長と一輪の花








「おいで、花莉」



朝、学校に行く前に左手を差し伸べてくる詩優。



「?」



…手を出せってこと?



私はそっと自分の左手を詩優の掌にのせた。すると笑い出す詩優。




「それじゃお手」



私の右手を詩優は左手で握って、指の間に自分の指を絡ませてきた。



ぎゅっとそのまま力を込めて、「これが恋人繋ぎ」と言って笑った。



……恋人!!



目が覚めたら詩優とベッドで眠っていたから昨日のことは夢ではないと思ってたけど……実際に『恋人』と言われるとなんだか照れくさい。








そのまま手を引かれて、エレベーターに乗って康さんの車へ。



手を繋いでいるところを見られて恥ずかしくて、手を離そうとしたけどそれを受け入れてくれずに…もっと力を込めて握ってきた。



詩優は恥ずかしいとか思わないのだろうか…




「あとで倉庫でも言うけどさ。俺と花莉、付き合うことになった」



にっ、と笑ってから康さんにブイサインする詩優。



なんだかその笑顔が子どもみたいで可愛い。



康さんはにこりと優しく微笑んで「おめでとうございます」と言ってくれた。

















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