世界No.1の総長と一輪の花






それから空き教室に移動して、授業開始のチャイムの音を2人で聞いた。



詩優は自分の足と足の間に私を座らせて、ぎゅっと後ろから私を抱きしめる。



ドキドキしすぎて心臓が壊れそうだ…








詩優は何も言わずにただ私を抱きしめる。ドキドキしてるのが詩優に伝わりそうで、胸の鼓動が聞こえてしまいそうで……何か言ってほしい。




詩優が何も言わないなら私が何か話さないと…





「…あ、あの…!!」




沈黙に耐えられなくて勢いで言ってしまったが、何も話すことなんて考えていなかった。




「ん?」

「………詩優の好きなものは……何?」




何を言えばいいのかわからず思わずそんなことを言ってしまったが、詩優は「今さら?」と笑う。




「俺が好きなのは花莉」




その言葉で一気に顔が熱くなっていく。今絶対真っ赤だ……




詩優はずるい。簡単に私をドキドキさせて………




私はもうなんて言ったらいいのかわからず、ただ詩優に抱きしめられていた。









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