世界No.1の総長と一輪の花
「歩ける?」
詩優は私を抱えて、地面におろしてくれた。
「うん」
私たちはみんながいる方へと向かう。雷龍のみんなは海岸にいて足だけ海に入っていたり、砂浜で鬼ごっこをしていたり。
ここから見ると着ぐるみルームウェアの人たちがたくさん走り回っていてなんだか面白い。
「準備できたから!!早く花火しよ!!!!」
クマの着ぐるみルームウェアを着て楽しそうにはしゃぐ明日葉。その姿がとても可愛らしい。
「おう!」
砂浜には小さなビニールシートがひいてあって、その上にたくさんの手持ち花火が置いてある。
……本当にすごい数ある。
「わーい!!!いっちばーん!!!!」
明日葉は楽しそうに手持ち花火を持って、ろうそくで火をつけた。
花火の先から勢いよく出る火花。
それがとても綺麗で、夏が近づいていると実感する。
"あの日"も少しずつ近づいてきてるんだ…
「花莉?」
京子に名前を呼ばれて我に返った。
「どうしたの?」
心配そうにする京子に
「なんでもない!」
と返して、私たちも花火を楽しんだ。