世界No.1の総長と一輪の花
「考えごとですか」
ぼーっとしていた私に声をかけてきたのはまさかの銀髪の哲哉さん。
「……す、少しだけ」
「何か困ったことがあったら何でも言ってくだせぇ」
優しく微笑んでくれる哲哉さん。
「…じゃあ……1つだけいいですか?」
私がそう言うと「もちろん」と頷いてくれた。
「……詩優が無茶しないように……無茶しようとしてたら止めてあげてください」
「……できるだけ頑張ります。けど……詩優さんは姫さんのことになると止められないところがありますから……あの時だって…」
「あの時?」と私が首を傾げると、
「姫さんが鳳凰に攫われた時です」
と丁寧に教えてくれる。
「あの時一時的に詩優さんと中学生組がとある倉庫に閉じ込められていて……俺と康さんが応援で行った時はもう詩優さんはひどい怪我してたんです。
それでも詩優さんは姫さんを助けに行くって止まらなかったんで……包帯を巻いておきましたけど…
そのあと…俺も一緒に行くべきだった……すみませんでした、姫さん」
今度は深々と頭を下げられる。
「え!?あの!!謝らないでください…!!私が捕まったのが悪いんですから…」
「いえ、そんなことは……」
「これからの詩優のこと…止めてあげてください」
「…はい」
私の言葉に真っ直ぐに目を見つめて答えてくれた哲哉さん。