世界No.1の総長と一輪の花





「…でもこんなに人数いらないと思うんですけど……」



三谷先生にそう言う京子に私は強く頷いた。




「大丈夫。お前らは特別枠だから」




ぐいぐいと私と京子の背中を押してプールサイドに戻された……




…特別枠とは?




「お前らはここ」




連れてこられたのはプールのシャワー室。「ほれ」とデッキブラシを私と京子に手渡して、「頑張れよ」と言ってから去って行った。




どうやら逃げるのは不可能のようだ。




「………早く終わらせて帰ろうか」

「…うん」




諦めも肝心だと思い、私と京子は長ズボンの裾を捲ってシャワー室の床を水で流しながらデッキブラシで擦った。




詩優と竜二さんはちゃんと掃除しているだろうか……




というか暴走族の総長と副総長が掃除なんてするのだろうか。世界No.1のトップが……




全然想像つかない。




「妃芽乃さん、結城さん。それ、代わるよ?」




いきなり声をかけてきたのは男子生徒2人。一人の男は猫目で、もう1人の男はそばかすがある。そしてどちらも制服姿だ。




…話したことも見たこともない人だ。それなのに掃除を代わってもらうのはさすがに悪いし……
それに汚れないかな……ジャージじゃないのに…



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