世界No.1の総長と一輪の花
あれからどうなったのかはわからないまま。詩優は帰ってこないし、冬樹くんの連絡先だって知らない。
それに詩優は『用事がある』と言っていたから忙しいのかもしれない。
…またあの女性と会ってるのかな……
と考えると胸が痛くなるけど……
考えるのはやめよう。詩優を信じなくちゃ。雅さんの時だって勝手に勘違いしてたんだから…
きっと何か理由があるんだ。
「姫さん?大丈夫っすか?」
貴詞さんの言葉で、はっと我に返った。
「……だ、大丈夫です!」
「そうっすか?」
「はい」
「詩優さん、最近来てないから寂しいっすか?」
「え…?え!?」
にやにやする貴詞さんの頭を「姫さんをからかうな」と叩く哲哉さん。
「哲さん!!俺だって寂しいんすよ?詩優さん家のこととかあって忙しいみたいっすから」
………家のこと?
「詩優さんは仕方ないだろうか」
「でも寂しいもんは寂しいんすよ~!!ねぇ、姫さん」
私はただ笑うことしかできなかった。
だって私は詩優の家のことなんて知らないんだから……