世界No.1の総長と一輪の花
私は自分のブレザーを脱ぎ捨てて、制服のリボンをはずす。ブラウスのボタンに手をかけたところで、それを詩優の手で制された。
「花莉。ストップ」
「……なに……止めないで…浮気者…」
「…俺の話聞いて」
「…………やだっ…」
「ここ何日か、俺が一緒にいたの姉貴だから」
「……そんな嘘いらない」
「嘘じゃねぇ。姉貴がストーカーで困ってるって言うからその男避けになってた」
「………キスしてたの見たもん」
私はこの目ではっきり見たんだから……
普通、姉弟ならキスしないだろう。
「キスしてねぇよ。寸止めだし」
「……絶対嘘」
~♪
音楽が鳴り出す。私のスマホではなく、詩優のスマホが。
それは絶対電話だ。でも、女の人からかもしれない……
「……出ないでっ…」
無理なお願いかもしれない。でも、出て欲しくない…
「……わかった」
詩優はそう言って、電話が切れるのを待った。電話が切れてほっとしたら、またスマホが鳴り出す。
「……」
そしてまた切れて、またスマホが鳴る。
「…やっぱり出ていいよ……」
「……おう」
さすがに3回も連続でかけるなんて急用だろう。それにもし女の人以外からだったら申し訳なくて…
思わず許可を出した。