世界No.1の総長と一輪の花
詩優はそっと私の手を離すと、ズボンのポケットからスマホを取り出す。
まず見せられたのはスマホの画面。そこには"夜瀬 朱里(やぜ あかり)"と表示されていた。
「姉貴だから」
そう言って詩優はスマホをスピーカーにして通話ボタンをタップ。
『もしもし!?今どこにいるの!?』
可愛い女性の声が聞こえてくる。
「あー。ごめん。今日はちょっと行けねぇかも」
『早く言ってよ!!!明日は頼むからね!?』
「わかったわかった」
それからすぐに電話は切れた。
「明日姉貴に会わせたら信じてくれる?」
こくん、と頷いた。
でも……
「…じゃあ……どうして私に…キスしてこなかったの……キスする人ができたから私にキス出来なかったんでしょ…?」
「んなわけねぇだろ」
「…何で……?」
「前の俺だったら好きだからお前に触れたい、そう思って触れてた。けど、今は好きだからお前を大切にしたい。ってそう思ってる」
「…そんなのわかんないっ……」
「わかって」