世界No.1の総長と一輪の花
「花莉。今すぐ俺と来て」
……今すぐ?
…詩優のその格好からして、行くところは絶対に学校ではないだろう。
「…学校は?」
「さぼる」
ぐいっと私の手をとると歩き出す詩優。私は冬樹くんのスマホをまたブレザーのポケットにしまう。
「ちょっと待って!!!!!」
ありえないだろう。髪の毛だってぼさぼさだし。女の子には準備というものが必要なんだ。
私がそう言っても止まらない詩優に、
「…せめて5分待って!!!」
と言ったら「わかった」と止まってくれた。
急いで顔を洗って、髪を整えて……私は本当に5分で準備した。
「会場に着いたら俺の腕にくっついてて」
……会場?
詩優に手を引かれて外に出ると、そこにはなんと……
1台のリムジンが止まっていた。
まさかとは思うけど、そのまさかだった。
「乗って」
リムジンのドアを開けて、乗るように促された。
…これからどこに行くんだろう……
そう思いながら大人しくリムジンに乗った。