世界No.1の総長と一輪の花
「この子は俺の恋人」
詩優のその一言に周りが一斉に固まる。まるで石になったかのように…
数秒した後、すぐに私に集まる視線。詩優は私の腰に添えていた手を肩にもってきて、ぐいっと体を引き寄せる。
詩優の胸に顔を埋めるかたちとなって、完全に密着状態。
ドキドキと鳴る胸の鼓動が詩優に聞こえてしまわないか心配だ。いや、それよりも人前で抱き寄せられているわけで……そっちの方が問題だろう。
だって詩優はここの社長の息子なんだから…
「どこの令嬢ですの!?」
柊さんと呼ばれた女性の声。
ドクン…と心臓が嫌な音をたてる。
確かに超高級ホテルの社長の息子。その息子に一般人の恋人などありえない。詩優の恋人が"令嬢"という考え方が当たり前なんだ………
本当に私なんかでいいのか
そんな嫌な考えが頭に浮かぶ。