世界No.1の総長と一輪の花
でももう詩優から手を離せないところまで来ている………
今更離れるなんて考えたくない。考えられない。
私は詩優が好きだから
私はゆっくり詩優から離れると、前を見る。すぐにたくさんの視線と目が合って、怖くなるけど……ゆっくり口を開いた。
「…残念ですがどこの令嬢でもない一般人です」
小さくもなく、大きくもない声。その声が今周りにいる人にはしっかり届いたようで、みんなが一斉に固まる。
石にでもなったかのように……
本日2度目の石化。
そこで「ふはっ」と笑いだしたのは詩優。
「お前は令嬢じゃなくて姫だろ?俺の」
と頭を撫でてくれた。優しい、温かい手で。
「行こっか、花莉」
頭を撫でていた手をするり下に滑らせていく。頬に触れて、首に触れたと思ったらその手を肩に回す。
そのまま私の肩を抱いてゆっくり歩き出す詩優。
周りの人たちはただ呆然と私たちを見ているだけだった。