世界No.1の総長と一輪の花
詩優に誘導されて、連れてこられたのはテラス。夕暮れ時で、テラスの隅から隅におしゃれなランタンが並べられている。
ここには私たち2人、というわけではない。綺麗なドレスに身を包んだ女性、シワひとつないスーツに身を包んだ男性がちらほらいる。
「キスマークつけていい?」
詩優は私の耳元に顔を近づけて、小さな声で言う。
「え!?な、な、な、なんで!?」
いきなり声が耳元でするから、しかも変なことを言うから心臓がドキリとする。
「花莉が俺のだって見せつけたいから」
「…私は詩優のでしょっ…」
「じゃあ遠慮なく」
ちゅっと私の唇にキスを落とす詩優。私は確かに詩優のだけど、キスマークをつけていいと言ったわけでもないし、キスしていいと言ったわけでもない……
ここは二人きりじゃないのに…
すぐに唇は離れた。けれど、それだけでは終わらず次は私の首筋に顔を埋めて吸い付いてくる。
「…っ…」
ほんの少しの痛みがあって、詩優は私から離れた。
目の前の彼は満足そうな顔をしているからキスマークをつけることに成功したんだろう。