世界No.1の総長と一輪の花
「昨日雷龍の野郎に喧嘩売ったんだけどよォ、スルーしやがった」
「腰抜けじゃね?それ。まじうける」
学校の廊下で聞こえてきた声。
何故か無性に腹が立った。雷龍にじゃなくて……そんなことを言ったやつに。
「そ、そそそそそそそんなこと言うなっ!!!!雷龍はお前らな、ななんかと違って…強い……!!」
声のした方を見れば、黒髪の前髪が長い根暗野郎がカタカタと足を震わせながら雷龍を馬鹿にした男たちに喧嘩を売っていた。
「てめぇ、今なんて言った?」
当然男たちが怒って、根暗野郎の胸ぐらを掴みあげる。
……馬鹿な野郎
喧嘩なんて売らなければ殴られずに済むのに……
根暗野郎が殴られる直前で、俺は何故か男の拳を止めていた。そしてもう1人が殴りかかりそうになったところを壮が片付けてくれた。
……体が勝手に動いた…
「…あ、の……あ、あああありがとう、ございます!!」
俺と壮に頭を下げる根暗野郎。っていうか前髪の下にメガネかけてるし……見えづらくねぇのか…?