世界No.1の総長と一輪の花






お母さんが住んでいるのは二階建てのアパートで、二階の一番右端の部屋。




詩優のマンションから歩いて10分くらいのところだから近い。




「知らないやつは絶対に部屋に入れないこと。何かあったら俺にすぐ電話すること。わかった?」




アパートまで荷物を運んでくれた詩優が、小さい子どもに言い聞かせるように私に言う。




「…うん」


「ん。じゃあ、明日の朝迎えに来るから」






「…うん」


「………また、明日」








背中を向けて去っていく詩優に、『行かないで』と引き止めてしまいたかった。行かないでほしい。行ってほしくない。





……でも、詩優を選んでいてもお母さんとも一緒にいたかったと思ってしまうんだろうな…




















どっちを選んでも悲しい気持ちが残るんだ




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