世界No.1の総長と一輪の花





「…夜瀬くんにね、"花莉は限界まで我慢する癖があるから無理しないように見ててあげてほしい"って言われたの」


「……詩優が?」





「だから花莉。我慢しないで」


「…お母さん……」





「夜瀬くんに会いたいなら会いに行っていいのよ?」




お母さんは起き上がって、私に部屋の鍵を手渡す。





「この鍵は花莉専用よ。気をつけて行ってきてね」


「…ありがとう、お母さん」







お母さんの優しさに涙が溢れそうになる。私は急いで部屋着の上に1枚パーカーを羽織って外へ飛び出した。


もちろん手渡されたばかりの鍵で部屋の扉を閉めた。







外は街灯が少なくて、薄暗い。






でもそんなの気にしてられない。一刻も早く詩優に会いたいんだ。
















全力で走って、いつもの見慣れたマンションが見える頃には完全に息切れしていた。




エレベーターで最上階まで行って、部屋の扉の前で息を整えようと深呼吸。




5回くらい深呼吸を繰り返してから、カードキーでドアを開けた。














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