世界No.1の総長と一輪の花
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バイトを始めて1週間、仕事にも慣れ私は1人で一部屋の清掃を担当することになった。
なったんだけど……
この子は誰…?
お客さんが帰ったあとの部屋の清掃を担当した私。なのにどうしてベッドの上の布団の中で小さな男の子がすやすやと気持ちよさそうに寝ているのだろうか。
…もしかして……
迷子?
「…あの……」
布団を捲って、男の子に声をかけてみる。
「…うーん……」と反応を見せるも目を開ける気配がない。
「お、起きてー…」
今度は体を揺すってみる。
すると、ゆっくり目を開ける男の子。
くりくりした瞳と目が合って、男の子は眠そうにゆっくりと目を擦った。
「…おねーさん……だれ?」
男の子が1番最初に発した言葉。
むしろその言葉は私が言いたい。
「…私は、ここのバイトの…妃芽乃 花莉、といいます。きみは…?」
「…僕、壱成(いっせい)……6歳…」
そう名乗る男の子は、眠そうに欠伸をひとつ。
特に私に驚いている様子もなかった。