世界No.1の総長と一輪の花
地下1階にはお客さんを通しては行けないと早乙女から教えてもらった……
なのに…
私は今、その約束を破っています…
「わぁー!!!僕、ここ初めて見た!!」
楽しそうにはしゃぐ壱成くん。
「い、壱成くん…!!ここはね、実は……」
壱成くんに目を向けると、ちょうど床に落ちているタオルを踏んでしまったようで
つるん
と滑っていたところだった。
「危ないっ…!!」
私は間一髪のところで、壱成くんの手を引っ張り体制を整える、が………
ごんっ!!!!
と壁に頭をぶつけてしまった…
思ったよりも痛い…
「お、おねーさん!?」
小さくうずくまる私に壱成くんは「い、痛いの痛いの飛んでけー」と心配そうに小さな手で頭を撫でてくれる。
…なんだか心がほっこりしていく……
「だ、大丈夫…!!」
壱成くんのおかげで痛みは和らいだ…けど、ほんの少しだけまだ痛みがある。私はブイサインをして壱成くんに笑顔を向けた。
「…ごめんなさい…おねーさん…」
と謝る壱成くんの頭を今度は私が優しく撫でて、
「壱成くんに怪我がなくて良かったよ!」
と返した。