世界No.1の総長と一輪の花
「ごめんなさい…!!私、もう嘘なんてつかないから………嫌いにならないで……呆れないで……怒らないで……お願い…」
抱きしめる手に力を入れて、詩優の動きを止める。
「……部屋どこ」
小さく聞こえた声。
「あっち」
私は奥の部屋を指さす。
するとすぐに私が抱きしめていた手を振りほどくと、そのまま私の手を引いて歩き出す。
「カードキー貸して」
詩優に言われるまま部屋のカードキーを出すと、私が借りている部屋の前で止まって部屋を開ける。
部屋の中に入ると、ぎゅっと詩優に抱きしめられた。
「嫌いになるわけなんてねぇし、呆れたわけじゃねぇ……怒ってるだけ。花莉じゃなくて、あの男に。
俺だって最近花莉に触れてねぇのに…ベタベタ触りやがって…」
少しいつもより低い声で言う詩優。
「ほんとむかつく」と呟いてから、もっと私を抱きしめる力を強くする。
…少しだけ、苦しいけど………
嫌じゃない。
詩優にならもっと触れて欲しいんだ。