世界No.1の総長と一輪の花
「ねぇ、詩優くん。2人で抜け出さない?」
一人の女が俺の耳元で小さく囁いた。
「…いーよ」
そう返事してから俺は立ち上がる。囁いた女の腕をひいて部屋を出た。
部屋を出る間際に
「行っちゃうのぉ~!?」
「えぇ~!!次は私にして~!!」
とか聞こえたけど全部無視。
「ホテル行こ」
女の手をひいたままそう言えば、
「いいよ。何回でもヤらせてあげる」
と返された。
…よく初めて会った男とできるな
「嘘。俺もう帰るから」
ぱっと女の手を離して、早足で出口へと向かう。
「え!?な、何で!?」
女はぐいっと俺の腕にしがみつく。
……めんどくせぇ
俺はピタリと足を止め女を見つめる。
「逆に聞くけど、俺の何が気に入ったの?」
「…そりゃあ!か、顔とか…かっこいいし……それに…ゾクのトップだし……」
焦ったように答える女。
まぁ、それって要は俺の内面は好きじゃないってことだよな。内面を見ようとしない女なんて山ほどいるけど…
「…俺さ、好きな子いるからごめん」
手を振りぼどいて、カラオケ店を出た。