世界No.1の総長と一輪の花
あの子はどうだろうか。
俺に興味はないし……正体を知ったら怖がる、だろうな……
媚びるか怖がるか、それが普通の反応。
でも、もしかしたらあの子なら受け入れてくれるのではないか……とも考えてしまう。
…都合のいいように考えんな、俺……
「あっ」
カラオケ店から少し歩いたところで見かけた女の子。その子は同じ学校の制服で、時々目を擦りながらあるいている。
……泣いてる?
肩よりも長い髪で、どこか人を惹きつけるオーラがある…
…間違いなくあの子だ。
スマホで時間を確認すると、今は深夜2時を過ぎたところ。
…こんな時間に危ねぇだろ……
あの子を見てにやにやする男が5人、近くにいるし……
「…あー……」
絶対絡まれるやつだ。
しかもあの子は近くにいる男に気づいてねぇし…
「そこのあんたらさ、俺の暇つぶしになって」
気づいた時には足が勝手に動いていた。男5人の前に立って、喧嘩をふっかける。