世界No.1の総長と一輪の花
「二度とこいつに近寄んな」
声を低くしてそう言えば、
「は……はい……」
とデブ男が震えながら走り去って行った。
俺は今度はあの子に近づいて、
「大丈夫?」
と声をかけた。
自分のパーカージャケットを脱いで、あの子にかけてあげる。その間あの子は俺のことをじっと見つめて固まってた。
…もしかして…俺のことも怖い、のか…?
そりゃあさっきまで男に襲われてたんだから当たり前か……
「立てる?」
あの子の前にしゃがんで目線を合わせた。それでもあの子は俺をじっと見つめたまま動かない。
「おーい」
目の前で手を振ってみると、
「は!はい!」
と返事が返ってきた。
「ここ寒いから移動しない?……この雪だしさ」
さっきよりも雪がたくさん降ってきているんだ。そのせいで余計寒い。
俺の言葉にあの子がゆっくり頷いた。