世界No.1の総長と一輪の花
朱里さんには会ったことあるけど…
「…詩優のお兄さんってどんな人なんだろう」
思わず口に出た言葉に、京子は静止。
明日葉はこっちの話など聞いていなくて、クッキーを食べ続ける。
けど……京子はひどく真剣な表情へと変わって、私をじっと見つめてから口を開いた。
「…………詩優に聞いてないの?」
「え?」
……何を?
「………………………詩優が話したくなったら話してくれると思うから。待っててあげて」
ぽんぽんと優しく私の頭を撫でてからまたケーキ作りを再開する京子。
京子の言い方からして……詩優は私に何かを話せなかったんだろう……
何かは気になるけど…
詩優が話したくないことなら誰にも聞かないでおこう…
「花莉、明日葉、いちごのせて!」
「うん!」
私もケーキ作りを再開した。