世界No.1の総長と一輪の花
リビングに行くと、「そこ座って」とソファを指さす詩優。
高級そうなソファ……詩優の前に腰を下ろす。
「…俺さ、世界No.1の暴走族"雷龍"の12代目総長なんだ」
「昨日聞いたと思うけどさ」と、付け足して真剣な表情の詩優。
私はこくり、と頷く。
「竜二が副総長で、倫也が幹部。幹部はあと2人居るんだけど…それは後でな。
俺はさ…花莉を守りたい。だから……"雷龍"の姫にならねぇか?」
……姫って……昨日金髪男が言ってたような……"総長の…族の大切な女"……のこと…
「…わ、私に……その仕事はつとまらないと思う…
…詩優には何回も助けてもらって本当に感謝してる……けどそもそも何で私を守りたいと思うのかわからない…
私と詩優は会って数日のはずでしょ…?」
詩優を困らせてしまうかもしれない。けど理由が知りたかったんだ…
詩優は1呼吸したから、
「好きだから……って言ったら信じる?」
私の目を逸らさずにとらえて、逃がさない。
ドキン!と大きく胸が高鳴って…心臓の音が聞こえてしまうのではないかと思うくらい。
…すき……?すきってあの……好き?
「お前にとったら俺は会って数日の男。でも俺は花莉のこと入学式から知ってる……
いわゆる一目惚れってやつだった」
……ヒトメボレ……?
入学式から……?そんなに早く?
ドキドキしすぎて…もう…キャパオーバーになりそう…
「好きだから守りたい……だから…姫になってほしい」
このまっすぐな目を逸らすことなんて絶対にできない。それにまっすぐな気持ちにこたえたい…
「…はい」
そう思ったら自然に声が出ていた。