世界No.1の総長と一輪の花
雷龍、紫苑、紅蓮に撤退命令を出してから俺はそのまま止めてある車へと乗り込んだ。
「…大丈夫。大丈夫だから」
花莉を落ちつけるためにあたまをなでてあげると、途端に眠そうにする。
「寝てな」
ぎゅっと小さな体を抱きしめれば、花莉の力が抜けていってすぐに可愛い寝息が聞こえてきた。
…もう少し遅ければ…花莉を…失うところだった。もし、万が一のことがあったら…と考えると怖くなる。
…俺のせいだ。俺が、族なんかに花莉を巻き込んだから狙われてしまうんだ…
今までだって何回もいろんな族に狙われ続けて危ない目にあわせてしまった…
花莉を、雷龍の姫にした俺のせいだ。
俺が花莉に惚れたせい。
姫にするからには絶対守るつもりだったんだ…
だけど……もう…
「…ごめん。花莉」
小さく呟いてから花莉の唇にキスをひとつ。
これが花莉にする最後のキスにしようと思った。