世界No.1の総長と一輪の花
それからは花莉を康の車でアパートまで送ってもらった。花莉は俺と一切目を合わさず、ただ俯いていた。
見送ったあとは倉庫へと戻った。
雷龍、紫苑、紅蓮、ともに怪我人が多い。負傷者の手当と、今後のことについて話し合うのと同時に
「花莉と別れた。だから…雷龍の姫はまた不在に戻る…悪ぃな」
と伝えた。
「本当にそれでいいのか」
竜二は俺と目を合わせる。
「…もう決めたから。これでいい」
「…そうか」
「だからみんなにも頼みがある。花莉を族の世界から抜け出させるために、極力あいつに関わらないでほしい」
あいつらは悲しそうな顔をしながらも返事をしてくれた。
翌日、京子に頼んで雷龍の姫がいなくなったという情報を拡散してもらった。