世界No.1の総長と一輪の花
「…じゃあ、ね」
「……おう」
「…あの日、私を助けてくれて…本当にありがとう…
今までお世話になりました…!!」
最後に、涙は見せたくなかった。目を見て話したかった。
だから、精一杯笑顔をつくったんだ。
それからは涙がこみ上げてきて、それを見られたくなくて、走って外に出た。
エレベーターで下りて、全力で走る。
雷龍での楽しかった思い出も、あの部屋で過ごしたことも、全部思い出すだけで泣けてくる。
ぽたぽたとこぼれ落ちた涙は止めることができなくて、ただ全力で走った。
これでこの初恋ともお別れだ…
さよなら、詩優。