W Love ダブルラブ~イケメン双子に翻弄されて~
落ち着いてきて座り直し、梗月に相談しようか考えているとガチャリとドアが開いた。
慌てて手紙を裏返し立ち上がった。
入ってきたのは会議を終えたらしい梗月と前澤副社長。
梗月はすかさず静香の体調を気にする。

「静香、帰ってたのか。どうだった?病院は」

「あ、はい。お休みありがとうございます。やっぱり夏バテでした。無理をしなければ大丈夫です」

咄嗟に嘘をついてしまい気まずい顔をしているとデスクを回って隣へ来た梗月に顎を取られ上を向かされた。

「顔色が悪いよ?ほんとに夏バテ?今日は休んだ方がいいんじゃないの?」

「だ、大丈夫です。今日も忙しいんですから休んでなんかいられません!」

心配そうに見てくる梗月に慌てて取り繕った。

「まあ、まあ、梗月くん、心配しすぎも良くない。子供じゃないんだから新村さんも自分の体調の事は自分で管理できるだろう?」

苦笑いの前澤副社長のフォローに梗月は渋々引き下がった。
コーヒーを頼まれ、社長室に入って行った二人を見送り給湯室でコーヒーをセットしていると気持ち悪さから吐き気がした。

「う…うう…はぁはぁ…」

水をジャージャー出し苦しさから目尻に涙がたまり呆然と流れる水を見ていた。
この胃のムカムカはの原因は…。
お腹に手を当て項垂れる。

「どうしよう…」

静香は妊娠していた。
もうすぐ8週目に差し掛かる頃、と言うことは2か月前涼月の所に行っていたときに出来た可能性が高い。
梗月の子であってほしい…でも、万が一涼月の子だったら…。
双子だから生まれてもどちらの子かなんてわからないかもしれない。
でも、出来た時期を考えたら梗月だって感付くだろう。
疑心暗鬼のまま子供が産まれて育てていかなくてはいけないと思うと梗月に申し訳なくて言うことを躊躇していた
自分自身もわからないままどちらでもいいと割りきって育てていくなんてできない。
わだかまりを持ったままだと子供に悪影響を及ぼしかねないのは明白だ。
しかもあの嫌がらせの手紙まであって、梗月に言えないことが多すぎて静香は軽い眩暈に襲われた。



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