W Love ダブルラブ~イケメン双子に翻弄されて~
ぼーっと考え事しても始まらない。
梗月達はすぐに戻って来るからご飯の用意をしよう。
中山さんが作ってくれたおかずは、サバの塩焼き、きんぴらごぼう、豆腐とほうれん草のお浸しにお味噌汁。
純和風のメニューだ。
これを使ってボリュームアップした方が早そうだ。
まず、豆腐とほうれん草はきのこを加えて缶詰のホワイトソースととろけるチーズをかけてオーブンに入れてグラタン風に。

「静香くん、何か手伝おうか?」

「大丈夫です。梗月さんもシャワー入って来たらどうですか?」

梗月が戻って来て声を掛けてくれるけど、手を休めずに返事をする。
手伝ってもらうなんてとんでもない!
梗月は天性の料理音痴。
前に自分で作ったというなんだか解らないものを食べさせられて大変な目にあったことがある。
それ以来、変なものを食べて倒れられても困ると思って朝ごはんを作るようになったのだ。
「そう…」と言って寂しそうにいなくなったみたいだけどこれだけはさせるわけにはいかない。

サバはほぐしてレタス、きゅうりなどと和えてサラダに。ドレッシングはポン酢とマヨネーズあえ。

「静香くん、何作ってんの?手伝おうか?」

今度は涼月が声を掛けてくれる。

「いいえ、大丈夫です。涼月さんは座っててください」

私は振り向きもせず返事をした。
その後もなぜか入れ替わり立ち代わり梗月と涼月がキッチンに入ってきて、味見していい?とかお酒飲む?とかちょっかいを出してくる。
ちょっとイライラしながら受け流していた。

きんぴらごぼうは刻んでひき肉を足して味付けし卵を加えて、朝失敗したオムレツ風にする。
うん、今度は成功!
最後はお味噌汁をかさましして出来上がり。

ダイニングテーブルにおかずを並べ、ソファーでもう飲んでる二人に声をかける

「ご飯できましたよ」

揃ってこちらに来た二人は神妙な面持ちで席に着く。
今回は梗月が左側、涼月が右側だ。
お茶碗をそれぞれに置く。

自分の分は右側、涼月の隣だ。
どちらに置こうか迷ったけど、涼月の隣とは残念。

静香も席に着いていただきますと言うと、二人もハモるように同時にいただきますと言った。
双子あるあるってのはホントなんだと感心しながらご飯を食べる。
二人とも黙って食べてるからなんだかお通夜のよう、なぜか目配せしてる二人の様子を見ながら箸を進めた。

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