W Love ダブルラブ～イケメン双子に翻弄されて～

その頃、梗月は読んでるはずの本も頭に入らず、酒を煽り、昨日自分で言ったことが頭の中でぐるぐると回っていた。

「何してんだ、僕は…」

涼月を静香に託し、自分は結婚しない。

涼月と静香の幸せを第一に考えた決断だったが、その想いが揺らぐ。
その原因は、昨日の静香の涙…。

月明かりに照らされた涙は綺麗で、思わず唇を寄せたい気持ちをグッと我慢して手を伸ばし拭いてやった。
揺れる瞳が自分を見つめて、何か言いたげなのはわかっていたが、無言でそれを拒否したのは自分だ。

「僕は、もう、同じ過ちはしない…。僕が結婚だなんておこがましい…」

苦悩に歪んだ顔をグラスのウイスキーが映し出す。
それを一気に煽りテーブルに置くとソファーに背を預け天井を睨んだ。

今頃、あの二人は何をしているのだろう…。
想像したくない光景を思い浮かべそうになり頭を振り目を閉じた。