W Love ダブルラブ~イケメン双子に翻弄されて~
それから二日間は、梗月と本当に仕事以外話すことはなく、静香は思い悩み眠れず、食欲もなくて仕事が手に付かなかった。
それでも何とか自分の居ない木曜からの二日間を梗月が不便の無いように引継書を作って、仕事終わりに梗月に渡した。

「明日から私の居ない間はこの引き継ぎ書を見れば大抵はわかると思います。何かあれば連絡ください」

「うん、ありがとう。…大丈夫かい?」

「え?何がですか?」

「疲れが取れてないようだけど、ちゃんと眠れてる?」

「大丈夫ですよ。」

本当は体がだるくて仕方なかったが心配させないようににっこり笑った。

「向こうに行ったら、また涼に振り回されると思うからしっかり食べて寝て体調に気を付けてね」

「ふふ、お母さんみたいなこと言いますね?」

いつもは言わないような事を言う梗月がおかしくてつい笑いが漏れた。

「心配なんだよ。あいつは人の言うことは聞かないし振り回すし、いい奴ではあるんだけど…」

困り顔の梗月がおかしくてまた笑った。

「それに子供っぽいところもありますね。でも楽しくて意外と紳士で…頑固なところもあって…」

「ああ、あいつは言い出したら最後まで貫く。厄介な奴だよ」

ふっと笑った梗月の顔は慈愛に満ちてて涼月の事は兄弟として大切なんだなと思った。

「それは、涼月さんも言ってましたよ。梗月さんは頑固で言ったことは必ず貫くって…」

梗は結婚しない

そう言われたことを思い出して下を向く。

「そお?そんなつもりはないけど。僕はそんな風に見える?」

「ええ、とっても頑固で信念を持って仕事をしてるのを私は知ってます」

目が合うと恥ずかしそうにはにかみ頬をポリポリ掻いてる。

「それに、優しくて穏やかで…、みんな社長の事を慕ってます」

あえて、社長と呼んで自分なりのけじめをつけて、でも自分の想いを乗せて今日一番の笑顔で梗月の顔を見上げた。

「…ありがとう。さあ、明日早いだろ?もう帰ろう」

「はい…」

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