W Love ダブルラブ~イケメン双子に翻弄されて~
梗月と会社を出ると目の前に見たことのある1台の黒いスポーツカー。
あの日のようによしかかってる人物を見て静香は足が止まった。
梗月も気付いて眉をひそめ呟く。
「涼…」
「静香ちゃん!」
こちらに気付いて満面の笑みで走り寄る涼月に静香は思わず梗月の後ろに隠れた。
「涼、何しに来た?出向は明日だぞ?」
静香を隠すように涼月に立ちはだかると、涼月は不貞腐れたような声を出す。
「梗には関係ないだろ?明日が待ちきれなくて迎えに来たよ。静香ちゃん行こう。」
梗月を押しのけ、腕を取った涼月に引きずられ、静香はあたふたする。
「あ、あの、私何もまだ用意してなくて!」
「いいのいいの、必要なものは向こうで買ってあるから。身一つで来てくれればいいから」
「で、でも!」
「涼!無理意地は止めろ!」
涼月の腕を掴み歩みを止めさせた梗月は怒っていて、静香は声も出せずに立ち竦んだ。
「梗には関係ないって言ってるだろ?全てを諦めてるお前に言われる筋合いないんだよ」
「何!?」
「や、やめてください!」
また喧嘩をしようとする二人の間に何とか割って入って、涼月を見るとなんだか焦ってるような様子が窺える。
何かあったのかもしれない…。
なんとなくそう思って、梗月に向き直る。
「社長、このまま涼月さんと行きます。」
「静香くん…」
涼月の腕を離し、静香を見つめる目は心配してるようで、それを払拭するようににっこり笑った。
「大丈夫です。また、来週まで…行ってきます」
「…うん」
諦めたように返事をした梗月を見上げ、そして涼月の腕を取り車に向かった。
「ほら、涼月さん、行きますよ」
「あ、ああ」
涼月が助手席のドアを開けてくれ乗り込むと、回り込んで運転席に乗り込む間、梗月を見つめた。
力なく立ち竦む梗月は、涼月に何か言ってるようだけど聞き取れなかった。
車が出発し、目を逸らした隙に梗月は身を翻し居なくなってしまった。
「…涼月さん、何かありました?」
涼月の横顔を見つめ違和感をそのまま口にすると、「え、いや、なんでもない」と誤魔化そうとする。
「そんな風には見えませんけど?」
そう言うと、少し言い淀み観念したように話し出した。
「実は…、また会社に奈津子が来ておかしなことを言うもんだから、仕事ほっぽり出して迎えに来たんだ。」
「え?何してるんですか?」
「なんだか早く静香ちゃんの顔を見たくなってさ…」
ばつの悪そうな顔をして静香を見る涼月。
「まえ!前見てください!」
運転中、しかも高速に乗ったところなのによそ見をする涼月に慌てた。
「大丈夫だよ」
苦笑いして前を見る涼月に聞いてみた。
「奈津子さんはなんて?」
「…もう一度、やり直したい……、俺と…」
「え?」
「ふ、ふざけんなよって感じだよな?散々弄んだくせに今更だぜ!」
ははっと笑う涼月の目は笑ってなくて、前を見据えてそのまま黙り込んでしまった。
涼月はなんだか無理してるように見えるのは気のせいなのか?
なんだかモヤモヤする。
奈津子は本気で言ってるのだろうか?
もしかしたら梗月にも言ってるかも知れない。梗月はどう思ってるのだろう…。
想像すると胸が苦しくなって目を閉じた。
不眠だったせいもあり車に揺られているうちにそのまま眠りに落ちていった。
あの日のようによしかかってる人物を見て静香は足が止まった。
梗月も気付いて眉をひそめ呟く。
「涼…」
「静香ちゃん!」
こちらに気付いて満面の笑みで走り寄る涼月に静香は思わず梗月の後ろに隠れた。
「涼、何しに来た?出向は明日だぞ?」
静香を隠すように涼月に立ちはだかると、涼月は不貞腐れたような声を出す。
「梗には関係ないだろ?明日が待ちきれなくて迎えに来たよ。静香ちゃん行こう。」
梗月を押しのけ、腕を取った涼月に引きずられ、静香はあたふたする。
「あ、あの、私何もまだ用意してなくて!」
「いいのいいの、必要なものは向こうで買ってあるから。身一つで来てくれればいいから」
「で、でも!」
「涼!無理意地は止めろ!」
涼月の腕を掴み歩みを止めさせた梗月は怒っていて、静香は声も出せずに立ち竦んだ。
「梗には関係ないって言ってるだろ?全てを諦めてるお前に言われる筋合いないんだよ」
「何!?」
「や、やめてください!」
また喧嘩をしようとする二人の間に何とか割って入って、涼月を見るとなんだか焦ってるような様子が窺える。
何かあったのかもしれない…。
なんとなくそう思って、梗月に向き直る。
「社長、このまま涼月さんと行きます。」
「静香くん…」
涼月の腕を離し、静香を見つめる目は心配してるようで、それを払拭するようににっこり笑った。
「大丈夫です。また、来週まで…行ってきます」
「…うん」
諦めたように返事をした梗月を見上げ、そして涼月の腕を取り車に向かった。
「ほら、涼月さん、行きますよ」
「あ、ああ」
涼月が助手席のドアを開けてくれ乗り込むと、回り込んで運転席に乗り込む間、梗月を見つめた。
力なく立ち竦む梗月は、涼月に何か言ってるようだけど聞き取れなかった。
車が出発し、目を逸らした隙に梗月は身を翻し居なくなってしまった。
「…涼月さん、何かありました?」
涼月の横顔を見つめ違和感をそのまま口にすると、「え、いや、なんでもない」と誤魔化そうとする。
「そんな風には見えませんけど?」
そう言うと、少し言い淀み観念したように話し出した。
「実は…、また会社に奈津子が来ておかしなことを言うもんだから、仕事ほっぽり出して迎えに来たんだ。」
「え?何してるんですか?」
「なんだか早く静香ちゃんの顔を見たくなってさ…」
ばつの悪そうな顔をして静香を見る涼月。
「まえ!前見てください!」
運転中、しかも高速に乗ったところなのによそ見をする涼月に慌てた。
「大丈夫だよ」
苦笑いして前を見る涼月に聞いてみた。
「奈津子さんはなんて?」
「…もう一度、やり直したい……、俺と…」
「え?」
「ふ、ふざけんなよって感じだよな?散々弄んだくせに今更だぜ!」
ははっと笑う涼月の目は笑ってなくて、前を見据えてそのまま黙り込んでしまった。
涼月はなんだか無理してるように見えるのは気のせいなのか?
なんだかモヤモヤする。
奈津子は本気で言ってるのだろうか?
もしかしたら梗月にも言ってるかも知れない。梗月はどう思ってるのだろう…。
想像すると胸が苦しくなって目を閉じた。
不眠だったせいもあり車に揺られているうちにそのまま眠りに落ちていった。