W Love ダブルラブ~イケメン双子に翻弄されて~
さっきの緊迫した状態からの和やかな食卓に、緊張もほぐれて笑い合う梗月と梗月に意識を向ける。
反目し合ってるように見えて想い合う兄弟の姿。

「兄弟愛、ですかね……」

「え?誰のこといってんの?」

斜め前の席にいる涼月が、ポツリと言った静香の独り言を聞き逃さなかった。

「もちろん、涼月さんと梗月さんです」

「げ、何気持ち悪いこといってんの?」

「え?そうですか?お二人を見て思ったんですけど?」

梗月を見ると彼も嫌そうな顔。

「フォフォ、静香君はなかなか聡い子だ。本人達は認めんだろうが、やはり双子の絆は強い。素直じゃないのがたまにキズだが」

嬉しそうに笑う総裁に何も言えず目を合わせる双子。
両親も笑ってる。
フフっと笑い声が聞こえて正面の奈津子と目が合い静香も笑った。

食後、梗月達は帰らないと明日からまた仕事が待っている。
帰る前に話があると父が梗月を連れていき、静香はその間庭の散策を進められ奈津子と歩いていた。
広大な敷地の一角にイングリッシュガーデンがあり四季折々の花が楽しめるようになっているらしく今見頃なのは青紫のラベンダーと小さな花ばなそして色とりどりの薔薇が咲き誇り甘い匂いを漂わせていた。
薔薇に近づき匂いを楽しんでいると神妙な顔つきの奈津子。

「静香さん、貴女と初めて会ったときに私は酷い態度をとってしまったわ。ごめんなさい。涼ちゃん達の側にいる貴女に分かりやすく嫉妬してたと思う。」

快活そうに見えた奈津子はしゅんとして、立ち姿もお淑やかで、きっとこっちの奈津子が本当の姿なんだと思った。
そんなことを考えていて返事をするのを忘れて見とれていた。

「あの、やっぱり怒ってるわよね…」

ますますしゅんとする奈津子に、はっと我に帰って否定する。

「あ、いえ、全然大丈夫です。好きな人が女性と一緒にいたら私も嫉妬してたと思います」

「…ありがとう」

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