W Love ダブルラブ~イケメン双子に翻弄されて~
静かに微笑む奈津子に気になることを思いきって聞いてみた。

「あの、奈津子さん、梗月さんのことは怒ってないんですか?」

「……」

しばらく沈黙の後、奈津子は目を伏せたまま話し出す。

「昔から何度もあの二人には入れ替わってからかわれてたのに気付かなかったのは私だし…涼ちゃんを傷つけて、梗ちゃんの心も気付いてあげられなかった。だから私も同罪。もう過ぎたことだし忘れるわ。今はもう一度チャンスをくれた涼ちゃんとちゃんと向き合おうと思う。」

「奈津子さんは最初から涼月さんのことを…?」

すっきりしたような表情をする奈津子に恐る恐る聞いた。
梗月のことを好きになったことはあるのか?最後までは言えなかったけど…。

「そうね、子供の頃はどちらも好きだった。でも、私が高校1年の時だったかな?涼ちゃんは中2で、たまたま学校帰りに一緒になって、その時にガラの悪い人達に絡まれたことがあったの。その時涼ちゃん必死に私を守ってくれて、まだ子供だと思っていたけど、あのとき初めて涼ちゃんが男の人に見えて。それ以来ただの幼馴染として見れなくなってた…」

夕暮れ、陽の沈む空を見上げ微笑む奈津子はとても綺麗だった。

「ずっと想いは告げずにいたけど、アメリカで涼ちゃんに告白されて嬉しくて、ずっとずっと涼ちゃんだけを愛していたわ。別れた後も色んな人と付き合ったけど涼ちゃんを忘れることなんて出来なかった。梗ちゃんは幼馴染として、涼ちゃんの兄弟として、情はあるけど涼ちゃんへの愛情とは違う。貴女もそうじゃなくて?」

「はい、私も同じです…。」

にっこり笑う奈津子の顔が夕日に照らされ輝いている。
静香も気になっていた奈津子の本心を聞けて晴れ晴れした気持ちだった。

「奈津子、迎えが来た」

涼月が垣根からひょっこり現れて、奈津子に迎えが来たことを告げる。
3人で玄関脇にある車停めまで行き、奈津子は車に乗り込む前に振り向いた。

「静香さん、私達これから義姉妹になるから仲良くしましょうね。またお話しましょう?」

「義姉妹…」

なんだかその響きに恥ずかしくなって顔を赤らめる。

「はい、嬉しいです。よろしくお願いします」

モジモジしながら返事をすると満足そうに笑って奈津子は帰っていった。

「さすがに陽が落ちると冷えるから中に入ろう。梗達はまだかかりそうだから」

「はい」

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