W Love ダブルラブ~イケメン双子に翻弄されて~
ここのところ、胃がモヤモヤして食欲が湧かない。
夏バテのせいか、はたまた嫌がらせのせいか、悩み事があると如実に食欲に影響が出る静香は朝もあまり食べられなくて梗月に心配されていた。

「静香、そんなヨーグルトとフルーツだけで大丈夫か?ちゃんと食べないと」

「う~ん、夏バテですかね?なんかさっぱりしたものしか受け付けなくて…大したこと無いと思いますけどちょっと病院いってみます」

梗月に余計な心配をかけてしまって申し訳ないと思っている静香は安心してもらおうと病院に行く事にした。

午前中有給をもらい行った病院で聞いた診察結果に驚き絶句した。
信じられない気持ちで頭を抱える。

「え……まさか…」

どうしよう…もし、この事を言ったら梗月さんはなんて思うだろう…。

安心するはずの病院で驚愕の事実を知って悩みが増えてしまった。
呆然としたまま会社に着くと声を掛けられた。

「新村さん、ちょうど良かった。これ社長宛の手紙ね」

総務の深川さん。
珍しいこともあるものだ。社長の手紙は必ず深川さんが社長室まで来て梗月に直接手渡していた。
本当はそんな必要は無く秘書の静香に渡せばいいのだが、直接梗月に会えるチャンスとばかりに持ってくる、社長ファンの一人だった。

「あ、ありがとうございます…」

考え事をしていた静香は手紙を受け取りあまり相手の顔も見ずに社長室に向かった。
丁度会議中の時間で梗月はいないはず。

「はあ~」

自分の席に着きため息が出る。
しばらくボーっとしてから何気に渡された手紙の仕分けをすると、一通静香宛の手紙があった。
自分の名前宛に来ることはあまりないので不思議に思いながら中を開けて見ると思わずバッと立ち上がって口を押えた。

「ひっ…」

[新村静香 本郷社長に付いていくなんて許さない 自分の身の安全が欲しければ今すぐ会社を辞めろ]

今まで小さな嫌がらせはあってもこんな悪意のこもった物はなかった。
初めて恐怖を覚えた静香は震える自分の体を抑えるように腕を抱えた。

「身の安全だなんて…何かしてくるってこと…?」

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