身代わり令嬢に終わらない口づけを
今日と明日の二日間、ここフィランセの街では豊穣の秋まつりが行われる。国の中では一番の大きな秋祭りだ。そのため近隣の人々が集まってくるので、街は普段より賑やかになっているはずだ。ローズは、ベアトリスがこの祭りを見たいと常々言っていたことを覚えていた。
「ここに来てからずっと館の中で過ごしているだろう。たまには外に出るのも気晴らしになるかと思うが」
レオンがそう言ってくれるが、ローズはそれどころではない。
「いえ、遠慮いたします」
「そうか……」
その言葉は、少しだけ残念そうな響きを持ってローズに届いた。
「だが……来年は公爵夫人として臨席することになるだろう。覚えておいてくれ」
「はい」
硬い声で言って一気にカップを空にしたレオンは、席を立つ。それを見送って、ローズは、両手を強く握りしめた。
「ここに来てからずっと館の中で過ごしているだろう。たまには外に出るのも気晴らしになるかと思うが」
レオンがそう言ってくれるが、ローズはそれどころではない。
「いえ、遠慮いたします」
「そうか……」
その言葉は、少しだけ残念そうな響きを持ってローズに届いた。
「だが……来年は公爵夫人として臨席することになるだろう。覚えておいてくれ」
「はい」
硬い声で言って一気にカップを空にしたレオンは、席を立つ。それを見送って、ローズは、両手を強く握りしめた。