身代わり令嬢に終わらない口づけを
「ねえあの様子だと、絶対にレオン様もあなたのことをお好きなのよ?」

「……そんな、こと……」

 とたんに、ローズの目に涙が浮かぶ。

 そう見えたとしても、レオンの目に写っていたのは、伯爵令嬢のベアトリスだ。


「私は、ずっとお嬢様のふりをしていたのです。だから、レオン様が私のことをお好きなように見えたとしたら、それはきっとお嬢様のことを……」

「なんで? 私、レオン様になんて会ったこともないもの。ずっと一緒にいたのは、あなたでしょう? ローズ」

「私……?」

「僕にもそう見えたよ」

 きょとんとしたローズに、ベアトリスの後ろにいた青年が声をかける。
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