大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
「お待たせしました、都築さん」

「ひゃいっ」

右斜め後ろからかけられた声に飛び上がりそうになった。
その人は椅子を引き寄せて私の横に座り、バインダーを確認している。

「右の奥歯が痛む、と。
いつからですか?」

「い、一週間くらい前からです」

ばくばく、ばくばく。

速い心臓の音。
ぎゅっと握った手のひらは、じっとりと汗ばんでいる。

「じゃあ、ちょっと診てみますね。
……倒しまーす」

椅子が徐々に倒れていくにつれて、歯科医の顔が見えてくる。

……あれ?
思っていたより、若い。
黒縁の眼鏡のせい、かな。

完全に椅子が倒れ、歯科医の、レンズの奥の瞳と目があった。
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