ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】

彼はきっと、昨夜のことを私がまだ怒ってると思ってるんだろう。

違うの、そうじゃない。
もう怒ってない。

叫んで、抱き着きたい気持ちを抑えるように、ぎゅっと瞼に力を入れた。

好き。
ライアンが好き。

何も考えずに、この気持ちに浸っていられたらいいのに。

例えば。
誰も知らない小さな町で、二人きりで。
一緒にご飯を作って食べて、毎日他愛もないことで笑って……

そんなささやかな幸せでいい。
それ以外、何も望まないのに。
それは……許されないこと?


もしかしたら、私は



彼にとって、鉛の翼なんだろうか。



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