ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】
7. 選考会②~ライアンside
「お待たせしました、遅くなっちゃってすみません」
倉庫から運んできた皿とボウルをキッチンカウンターに置きながら、飛鳥が微笑む。
その横には、あのカメラマンの男――矢倉がいる。
寄り添うように。
なんなんだ、あの距離は。
やり場のない黒い感情を紛らわせるように勢いよく椅子に座ると、
そのテーブルにいたメンバーが、一斉にこちらへ興味深げな視線を投げかけた。
「失礼」
唇だけで笑みを作ると、隣席のサムがおもしろそうに眉を跳ね上げる。
その口が、何かを言いたそうに開きかけるのを見て、
遮るようにグラスを掴み、水を煽った。
いくら付き合いの長い、親しい友人相手だろうと、
何も話したくない、余裕のない時はあるのだから。
スタジオに入った時、すでに不穏な予感はあったんだ。
――何言ってるのよっ。原因、そっちのくせに。自業自得でしょ。
――はいはい、反省してるよ。
――今、思いっきり適当に言ったでしょ?
あんな、じゃれ合う恋人のような2人を見てしまって。
飛鳥のあんな信頼しきった顔を見てしまって。
どうしうようもなく胸を突いたのは、嫉妬と焦り、だった。