ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】

――顔、赤くなってないか?


入口で、凍り付いたように足が止まる。

視線の先にいたのは、見つめ合う2人……その距離は近く、今にもキスしそうな風にも見え。
血が沸騰するかと思った。嫉妬で。

何を、してるんだ……?


――どどど、どこがっ? もう変な事言ってないで


一刻も早く2人を引き離したくて、わざと足音を立てて近づいた。


――遅いから手伝おうと思ったんだけど。必要なかった?
――ら、ライアンっ……

急いで彼から離れる飛鳥、その頬が確かに色づいているのを認めて。
ますます自分の顔が凶悪に歪んでいくのがわかった。


――みんな待ってるよ。早く行った方がいいんじゃない?


半ば強引に目的のものを集めさせ、2人を追い立てるように戻らせた。

大人げなかったとは思うけど、あんなシーンを見せられて平静でいろって方が無理だろう?

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