ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】
――怖いんでしょう?
シンシアの言う通りかもしれない。
無意識に、飛鳥に対して、その話題を避けてたのかもしれない。
知られた時の反応が怖くて。
――黒社会(ヘイシャーフイ)なんかと!
幼い日に浴びた、あの嫌悪の眼差しと石礫は……
未だに夢に見るほど、強烈な経験だったから。
怖かったのかもしれない。
もし嫌われてしまったら、と。
でも。
そのせいで飛鳥が悩んでいたとしたら?
そりゃそうだ。
自分のフィアンセが、マフィアと関わりがあるかもしれない、なんて聞いたら。
誰だって不安になるに決まってる。
一体どういうことかと、そりゃ不信感も抱くだろう。
ごめん、飛鳥……
何も気づかなくて。
ごめん。
ごめん。
全部、僕のせいだ――……
容赦なく降り注ぐ雪にまみれながら、僕はずっと、立ち尽くしていた。