ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】

――ごめんね。
――ごめん……ごめんなさい。

ウィークリーマンションのベッドに閉じこもって。
泣きながら繰り返した自分の声が、耳の奥に残ってる。

ひどい咳と悪寒、のどの痛みも、全部自業自得だと思った。
あんな優しい恋人を傷つけて、悲しませて。
私なんて、苦しめばいいんだ……
もっともっと、もっと……


「何があった? あの王子絡みだろう」

私を放し、腕組みしながら部長は覗き込んでくる。

でも、何も話せるはずなかった。
ていうか、話すことなんて何もなかった。
もう全部、終わってしまったことだから。


ライアンからの連絡は、その後途絶えていた。

昨日、打ち合わせで顔を合わせた田所さんにそれとなく聞いたところでは、
変わらず出社して、いつも通りバリバリ仕事してるみたいだし。
もう私のことは吹っ切ったんだろう。

ホッとすると同時に、自分だけがまだ引きずっている事実を思い知らされて、少し悲しくなったりもして。

自分から望んだことなのに、気持ちはなかなか上手くコントロールできない。

私も早く、忘れなきゃ。早く……

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