ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】
<我慢することないわ。彼女だって、今頃新しい男と楽しんでるかもしれないわよ?>
<っ……>
シンシアが、矢倉のことまで知ってるとは思えない。
けれど。
その言葉はあまりにもタイムリーで……とっさに返事ができなかった。
どうしたんだろう、2人はあの後?
抱かれて、いるだろうか。
飛鳥は矢倉に……
どんな風に、抱かれるんだろう。
あの声を、あの男にも聞かせるんだろうか。
柔らかく、甘く空気を震わせる、愛しい喘ぎ声……
<今夜だけ許してあげる。彼女を想いながら、わたしを抱きなさい>
耳元でささやかれたそれは、危険な、けれど甘美な毒だった。
飛鳥以外の女なんか……と何度否定しても。
ドロドロと渦巻く嫉妬と欲望は、互いをスパイスとして高め合い。
僕を凄まじい勢いで飲み込もうとしていた。