ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】
12. in the morning~ライアンside


ピンポンピンポンピンポンピンポン


「……た、……」


泥の中に突っ込んだみたいな、重怠い頭を持ち上げてサイドテーブルの時計を確認する。

11時過ぎ――、寝過ごした、と一瞬青くなったけれど。
今日が土曜であることを思い出して、ふぅ、と力を抜いた。


春間近を思わせる明るい光が注ぐベッドの上で、のそのそと体を起こすと。
瞬く間にズキンと強烈な痛みが頭を直撃して、僕は呻いた。

なんだ、これは。
ええと、何がどうなってるんだっけ……

上は裸、下はスウェット、という自分の格好を見下ろし、
マーブル模様に入り乱れる記憶を探る間にも。


ピンポンピンポンピンポンピンポン



休みなく続く……これは、インターフォンか。

ようやく誰かが訪ねてきたらしいことに気づいて、また呻く。
ささいな音でも、たまらなく頭に響いたから。


諦めてくれないかとも期待したけれど……無理みたいだ。
ドンドンとドアを叩く音まで始まり、ため息が漏れた。

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