ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】
文字通り身体が吹っ飛び、壁に激突した。
全身へ、内臓すべてがひっくり返るような衝撃が走る。
立ち上がろうとすると、くらりと視野が揺れた。
信じられない思いで、床に手をつく。
こんな風にクリーンヒットされたのは、初めてかもしれない。
昨夜全部出しておいてよかった、などとどうでもいいことを考えながら、
ゲホゲホと激しくむせ込んだ。
ポタポタッとフローリングへ血が散る。
「な、にすんだ……」
「目、覚めたか」
切れた唇をぬぐいながら顔を上げると、拓巳が僕を見下ろしていた。
まだ怒ってるのか?
うんざりしながら、ペタリとフローリングに座り込む。
こっちはヘロヘロなんだ。
みっともない告白だってしたんだから、もういいじゃないか。
「お説教なら――」
「覚えてるか?」
「は?」
「オレと最初に会った時のこと、覚えてるか?」