ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】

「奪われたなら、奪い返せ」

「奪い、返す……飛鳥を……? レイプしろとでも言いたいわけ?」

僕に組み敷かれ、涙を流していた飛鳥を思い出す。

彼女のことは、欲しい。
抱きたい。でも……泣かせたくはない。

苦々しく首を左右に振る僕へ、ニヤリと、親友が黒い笑みを浮かべる。

「自分の方がいい男だって、自分じゃなきゃダメなんだって、わからせてやればいい。彼女を一番幸せにできるのが自分だって、自信はないのか?」

彼女を、幸せにする……自信。
僕じゃなきゃ、ダメなのだと……?

「それに、オレの勘違いじゃなければ、たぶん飛鳥さんは――」


ピンポーン


二人目の来訪者らしい。
今日は朝から、なんてうるさい日だ。

立ち上がろうとすると。
先にモニターで相手を確認したらしい拓巳が、勝手にオートロックを解除してしまう。

「ろくなもん食ってないだろ。買い出し頼んだんだ」

そのまま僕を置いて、廊下へと消えていく――……



「ちょっとぉおおおっ! なんであたしが、こんなくっそ重たいものを持たされなきゃいけないわけ!? レディに対する気配り、ってものを持ってないわけ、うちの男どもはっ!!」
< 215 / 343 >

この作品をシェア

pagetop