ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】
「奪われたなら、奪い返せ」
「奪い、返す……飛鳥を……? レイプしろとでも言いたいわけ?」
僕に組み敷かれ、涙を流していた飛鳥を思い出す。
彼女のことは、欲しい。
抱きたい。でも……泣かせたくはない。
苦々しく首を左右に振る僕へ、ニヤリと、親友が黒い笑みを浮かべる。
「自分の方がいい男だって、自分じゃなきゃダメなんだって、わからせてやればいい。彼女を一番幸せにできるのが自分だって、自信はないのか?」
彼女を、幸せにする……自信。
僕じゃなきゃ、ダメなのだと……?
「それに、オレの勘違いじゃなければ、たぶん飛鳥さんは――」
ピンポーン
二人目の来訪者らしい。
今日は朝から、なんてうるさい日だ。
立ち上がろうとすると。
先にモニターで相手を確認したらしい拓巳が、勝手にオートロックを解除してしまう。
「ろくなもん食ってないだろ。買い出し頼んだんだ」
そのまま僕を置いて、廊下へと消えていく――……
「ちょっとぉおおおっ! なんであたしが、こんなくっそ重たいものを持たされなきゃいけないわけ!? レディに対する気配り、ってものを持ってないわけ、うちの男どもはっ!!」