ガラスの靴は、返品不可!? 【前編】
舌が覚えているその味を、喉の奥へと無理やり飲み込み。
「重いだろ、これは僕が持つよ」
さりげなくその手に触れつつ、彼女から袋を取り上げた。
「あ、ありがと」
無情にも彼女の手は、するっと離れ。
「じゃ、私はこっちを持って行くから」
そのまま別の袋を取り上げ、スタスタ入口へと向かってしまう。
意識して……るのは、僕だけか。
こんな風に理性を試されるシーン、これからも続くんだろうな……。
カボチャがのぞく袋を見下ろして、うんざりしながら髪をかき混ぜた。
その時だった。
――……ん?
人の気配を感じた。